AI活用の本質は「その作業を任せられるか」だけ
2026.07.01弊社では、月次決算の監査は税理士に、法的な紛争や係争への対応は弁護士に委ねています。この二つは、これからも人に委ねます。
しかし、それ以外——日々の仕訳や試算表の作成といった財務会計の実務、管理会計、受発注・在庫管理、販売データの集計と分析、仕入・原価の管理、労務、そしてこうした情報発信に至るまで——そのほとんどを、すでにAIに任せています。
メディアの「すごいAI」は、実務とは別の話
メディアで取り上げられるAI活用は、どうしても「びっくりするようなもの」に注目が集まります。すごい動画ができた。まるで映画のようだ。新しい機能が出た——。AIの進化や新機能はいまや目まぐるしく、情報を追い切れないという方がほとんどではないでしょうか。
ですが、こと業務効率に関して言えば、本質はたった一つです。
「その作業を、AIに代替できるか」。それだけを考えていればいい。
この本質を考えるにあたって、実は新しい情報を追う必要性はそれほど高くありません。大事なのは、人間が今やっていること・やらなければいけないこと、その作業一つ一つがどのような構造をしているかを見ることです。そしてそれを切り分け、「何をAIに任せられるか、任せられないか」を突き詰めていく。そうすると、最新情報はさほど必要ないという結論に至ります。
私自身も含め、多くの人は目まぐるしい情報の中で「すごいものが出ているらしい」ということに目を奪われがちです。しかし、見るべきポイントは「その作業を任せられるかどうか」、ただ一点なのです。
最新情報を追うのは、我々の仕事ではない
AIにとてつもない新機能が出た——そういった話は、専門のエンジニアや、極めて高度なことに挑む人たちに任せればいい。私たちのような、従業員数名のごく小規模な事業者にとって、最新情報を追いかけることが、果たして実務で有用になり得るでしょうか。
弊社が行っているAI活用は、そのすべてが地味な作業の積み重ねです。
しかし、ほとんどの実務や業務には、そもそも「地味な作業の繰り返し」という本質があります。だからこそ、その本質的な作業をいかにAIに代替できるか。そして、AIにできないことを、使う側がどれだけ認識できているか。それこそが、これからのAI活用において使う側に試される技量だと考えています。
弊社では、AIが「担当」を持って働いています
抽象的な話が続いたので、実際に弊社で何が起きているかをお伝えします。
弊社では、複数のAIに、まるで社内の部署のように役割を割り当てています。物販、マーケティング、経理、労務、広報——それぞれの担当AIが、決められた手順に沿って毎日の実務を進めます。おおまかには、こうした領域です。
- 受発注や在庫まわりの、日々のデータ整理と計画づくり
- 取り扱う商品の調査や、販売ページの準備
- 広告や販売状況の集計と、採算のチェック
- 仕訳や試算表といった、経理の日次業務
- 労務に関する事務手続き
派手さはありません。どれも、これまで人が手作業でこなしてきた「地味な作業」です。ですが、人が動き出す前に、その日に必要な数字や材料がすでに揃っている——この積み重ねが、少人数の会社を回す力になっています。
そして最後に人が担うのは、AIが揃えた材料をもとに「どう判断するか」です。任せられる作業はAIに任せ、判断は人に残す。この線引きこそが要だと考えています。
業務の棚卸しをすれば、ほとんどは代替できる
業務を棚卸しし、「AIでもできること」と「AIにはできないこと」を突き詰めていけば、ほとんどの業務はAIに代替できます。
ただし、セキュリティリスクなどを鑑みれば、大規模なシステムや既存システムのすべてをAIに代替できるかというと、私はまだそこまでではないと考えています。これは私がエンジニアではないからそう思うだけかもしれません。それでも、エンジニアではない私が業務のほとんどを効率化できている——これは本当にすごい時代になったと感じます。
AI活用は、そんなに綺麗なものではない
繰り返しお伝えしたいのは、AI活用は決して綺麗なものばかりではない、ということです。
AIで本質的に事業を推進していこうと思えば、それは「地味な一つ一つの作業を、人間がやらなくてよくなった」という積み重ねの結果でしかありません。派手さはありません。けれど、その積み重ねこそが、会社を動かしています。